教育バカのいきぬき

教育の現場で日々思ったこと

自分の将来に無関心なわが子との接し方

今が楽しければそれでよさそう、に見えるわが子

 勉強に対する意欲もなく、危機感を抱いている様子もない中学生の子どもがいます。
この子がどうしたら自分の将来と真剣に向き合い勉強するようになってくれるか悩んでいます。

ふれーくの考え

「遠くの問題は気になりがち、身近な問題は見逃しがち」

 まだ若い中高生が自分の将来と向き合い真剣に考えることは、私たちが思う以上に難しいことでしょう。就職から退職までは40年以上、中高生にとっては自分が生きてきた人生の倍以上の時間をどう過ごすかと言われても、実感がわきにくいのです。
 しかしながら、将来のことを考えることもままならず、勉強も進まない。その状況がお子様にとって好ましくないことは、保護者さまのご心配もごもっともです。ここで大切なことは、将来のことと勉強のことを一旦分けて考えてみることです。今はまだ将来についての考えが甘いお子様でも、いつか将来について向き合うこととなったとき、勉強が足りなかったから選択肢が限られているということは避けたいものです。ですからお子様の場合、無理に「将来について考えさせよう」とするのはなく「勉強をしっかりと続けるためにはどうすればよいか」と考えてみましょう。
 まずは勉強を通じて何かを得ること、日常が充実すること…そうして勉強の『楽しさ』や『大切さ』を感じてもらうことです。焦らずゆっくりとお子様の立場・視点に寄り添い身近な目標を設定することからはじめみてはいかがでしょうか。

小さなステップをのぼることから始めよう

 誤解を恐れずに言えば、学習の結果に対して、お子様が欲する「ご褒美」を渡すことからでも良いと思います。ただしここで大切なのは、抽象的な目標にするのではなく、一つひとつの目標が具体的なステップになっていることです。「期末テストで80点を取ったら」ご褒美をあげる、というような道筋の見えないものをゴールにするのではなく、「この範囲の英単語をすべて覚えたら」ご褒美をあげる、といったように“やるべきこと”がはっきりとした目標を設定することが肝要です。どうしたら達成できるかが見えない目標ではなく、達成する方法が明確である目標を掲げることで、まず手を動かすことができます。ビジョンではなくアクション。大きな目標ではなく、小さな目標という言い方をしてもよいかもしれません。動き出すことができずにいる生徒には、小さく具体的な目標を掲げることが大切です。

小さなステップは、遥かな目標につながっている

 標題である「将来についてしっかりと考えてほしい」という保護者の思いについてですが、将来について考えるというのは「自分で大きな目標を見出す」ということです。小さな目標を達成する経験を数多く積むことで、自分が目標を達成していく自信と、目標を達成することで得てきた知識を使って、次第に自ら大きな目標を見ることができるようになります。そのとき生徒自身が見つけた大きな目標が、その生徒の将来の夢になるのではないでしょうか。