教育バカのいきぬき

教育の現場で日々思ったこと

中学受験に失敗してしまった後の親子関係

学習塾の代表、ふれーくが実際に聞いた話を元に、こんな子がいたらどう教えればいいのか「教育バカ」として突き詰めて考えてみました。
親として、子として、誰もが通る「教育」。皆さんの意見も聞きたくて、私の答えをこのブログで発信していければと思います。
今回は、中学受験に失敗してしまってから勉強への思いが…という生徒のお母様から聞いたお話です。

 

中学受験の失敗以降、勉強の進捗が…

 夫が教育熱心で、子どものためをと思って中学受験を薦めましたが、失敗してしまいました。本人は高校受験に向けた勉強をはじめていますが、調子が上がりません。

 例えば夫が学歴の重要さについて言って聞かせるとそうした意識は持つようで、よい高校に進学したいという希望もあるのですが、実際に勉強していると「どうせやってもできないだろうし…」とロにすることもしばしばです。強い思いを持って勉強してもらうためにはどうしたらいいでしょうか。

ふれーくの考え

学歴は必要なものなのか

 学歴について、家庭によって考えは様々でしょう。ですから「子どもの将来に学歴が必要かどうか」「偏差値の高い高校がよい高校なのか」といった点について、今回は考えません。親が何を思い、お子様が何を思っているのか。そこにすれ違いが生じていないか…そういったことを考えていきます。

生徒は「これから」=「将来」を考える状況にない

 お子様にとっては、中学受験に落ちたという過去の失敗の"清算"が済んでいません。お父様の言ったことを実行して失敗した大きな経験があるので、今はお父様の言葉を素直に受け入れられる状態ではないと思います。中学に入ってから現在までの自分の中でくしゃくしゃになっている部分を清算することからはじめましょう。
 まず、中学受験の頃のことを、お子様と話し合ってみてはいかがでしょう。当時を思い出しながらこの話題を切り出すのは、失敗の責任を議論するようで、ご両親にとってもお子様にとっても難しいことかもしれません。そういった場合、教師や塾などを含め、客観的な立場から話をしてくれる人を挟むことも有用です。

足りないのは自信だった

 心の整理がついたら、目標に立ち向う"自信"を持てるようにしましょう。「どうせやってもできない」という言葉は、自分を信じきれていないために出てしまうものです。高い理想を持てるのはよいことですが、お子様が自分で立てた目標と、親の期待に応えるべくたてた目標は違います。目標と現実との間にギャップがあると、お子様の自信はなくなる一方です。お子様が完璧主義になって高すぎる目標にとらわれてしまわないように、視野を広く持って欲しいと思います。逆に教育者としては、お子様に問題の解き方を教えながら「本当に気にしなければならないことは何なのか」ということを伝え、価値観を養っていきたいものです。

 過去の体験を清算し、広い視野を持つ。こうした経験はお子様が自立していくために欠かせないものです。