教育バカのいきぬき

教育の現場で日々思ったこと

受験モードに切り替えられられない高校生の話

受験勉強の量を前に一歩が踏み出せない

 高校2年生の娘が、受験を見据え努力を続けるなかで「どうしてここまで勉強しなければならないのか」と受験勉強の量と周りの意識に焦り悩んでいます。どのように声をかけてあげればいいでしょうか?

ふれーくの考え

勉強する理由は人それぞれ

 「どうしてここまで勉強しなければならないのか」を考えるとき、まずは今「何のために勉強しているのか」について、お子様にとって納得できる答えを見つけることが大切だと思います。
 例えば将来の目標が「医師になりたい」だったらどうでしょう。「どうしてここまで勉強しなければならないのか」への答えは、ほぼ見つかっているようなものではないでしょうか。
 このように、「目標」が決まりそこから逆算すると、それを達成するための「手段」として、今どこまで勉強しなければならないのかも決まってきます。
さらに、「(どうして)(どのような)医者になりたいのか」などその目標をより明確にしていくことで、それは今のやる気につながります。

そんな装備で大丈夫か?

 「目標」が明確になったら、次に今の勉強方法を確認してみましょう。
「目標」が定まってから確認することで、今の方法では達成できないことに気づけるかもしれません。
また、学習の効率が悪く無駄に消耗していたことが分かるかもしれません。
 人は目標に現実味が無くなってくると、行動が消極的になりがちです。しまいには、「この目標は自分にあってないのでは?」と現実逃避してしまうことさえあります。
勉強の方法を確認することで、そうしたネガティブな判断にとらわれずにいられるのです。

まとめ

 目標を立ててそこから逆算すること、目標に合わせて勉強方法を見直すこと。この2つを軸にお子様といっしょにお子様にとって納得のいく「目標」「手段(戦略)」を考えてみてはいかがでしょうか?

自分の将来に無関心なわが子との接し方

今が楽しければそれでよさそう、に見えるわが子

 勉強に対する意欲もなく、危機感を抱いている様子もない中学生の子どもがいます。
この子がどうしたら自分の将来と真剣に向き合い勉強するようになってくれるか悩んでいます。

ふれーくの考え

「遠くの問題は気になりがち、身近な問題は見逃しがち」

 まだ若い中高生が自分の将来と向き合い真剣に考えることは、私たちが思う以上に難しいことでしょう。就職から退職までは40年以上、中高生にとっては自分が生きてきた人生の倍以上の時間をどう過ごすかと言われても、実感がわきにくいのです。
 しかしながら、将来のことを考えることもままならず、勉強も進まない。その状況がお子様にとって好ましくないことは、保護者さまのご心配もごもっともです。ここで大切なことは、将来のことと勉強のことを一旦分けて考えてみることです。今はまだ将来についての考えが甘いお子様でも、いつか将来について向き合うこととなったとき、勉強が足りなかったから選択肢が限られているということは避けたいものです。ですからお子様の場合、無理に「将来について考えさせよう」とするのはなく「勉強をしっかりと続けるためにはどうすればよいか」と考えてみましょう。
 まずは勉強を通じて何かを得ること、日常が充実すること…そうして勉強の『楽しさ』や『大切さ』を感じてもらうことです。焦らずゆっくりとお子様の立場・視点に寄り添い身近な目標を設定することからはじめみてはいかがでしょうか。

小さなステップをのぼることから始めよう

 誤解を恐れずに言えば、学習の結果に対して、お子様が欲する「ご褒美」を渡すことからでも良いと思います。ただしここで大切なのは、抽象的な目標にするのではなく、一つひとつの目標が具体的なステップになっていることです。「期末テストで80点を取ったら」ご褒美をあげる、というような道筋の見えないものをゴールにするのではなく、「この範囲の英単語をすべて覚えたら」ご褒美をあげる、といったように“やるべきこと”がはっきりとした目標を設定することが肝要です。どうしたら達成できるかが見えない目標ではなく、達成する方法が明確である目標を掲げることで、まず手を動かすことができます。ビジョンではなくアクション。大きな目標ではなく、小さな目標という言い方をしてもよいかもしれません。動き出すことができずにいる生徒には、小さく具体的な目標を掲げることが大切です。

小さなステップは、遥かな目標につながっている

 標題である「将来についてしっかりと考えてほしい」という保護者の思いについてですが、将来について考えるというのは「自分で大きな目標を見出す」ということです。小さな目標を達成する経験を数多く積むことで、自分が目標を達成していく自信と、目標を達成することで得てきた知識を使って、次第に自ら大きな目標を見ることができるようになります。そのとき生徒自身が見つけた大きな目標が、その生徒の将来の夢になるのではないでしょうか。

中学受験に失敗してしまった後の親子関係

学習塾の代表、ふれーくが実際に聞いた話を元に、こんな子がいたらどう教えればいいのか「教育バカ」として突き詰めて考えてみました。
親として、子として、誰もが通る「教育」。皆さんの意見も聞きたくて、私の答えをこのブログで発信していければと思います。
今回は、中学受験に失敗してしまってから勉強への思いが…という生徒のお母様から聞いたお話です。

 

中学受験の失敗以降、勉強の進捗が…

 夫が教育熱心で、子どものためをと思って中学受験を薦めましたが、失敗してしまいました。本人は高校受験に向けた勉強をはじめていますが、調子が上がりません。

 例えば夫が学歴の重要さについて言って聞かせるとそうした意識は持つようで、よい高校に進学したいという希望もあるのですが、実際に勉強していると「どうせやってもできないだろうし…」とロにすることもしばしばです。強い思いを持って勉強してもらうためにはどうしたらいいでしょうか。

ふれーくの考え

学歴は必要なものなのか

 学歴について、家庭によって考えは様々でしょう。ですから「子どもの将来に学歴が必要かどうか」「偏差値の高い高校がよい高校なのか」といった点について、今回は考えません。親が何を思い、お子様が何を思っているのか。そこにすれ違いが生じていないか…そういったことを考えていきます。

生徒は「これから」=「将来」を考える状況にない

 お子様にとっては、中学受験に落ちたという過去の失敗の"清算"が済んでいません。お父様の言ったことを実行して失敗した大きな経験があるので、今はお父様の言葉を素直に受け入れられる状態ではないと思います。中学に入ってから現在までの自分の中でくしゃくしゃになっている部分を清算することからはじめましょう。
 まず、中学受験の頃のことを、お子様と話し合ってみてはいかがでしょう。当時を思い出しながらこの話題を切り出すのは、失敗の責任を議論するようで、ご両親にとってもお子様にとっても難しいことかもしれません。そういった場合、教師や塾などを含め、客観的な立場から話をしてくれる人を挟むことも有用です。

足りないのは自信だった

 心の整理がついたら、目標に立ち向う"自信"を持てるようにしましょう。「どうせやってもできない」という言葉は、自分を信じきれていないために出てしまうものです。高い理想を持てるのはよいことですが、お子様が自分で立てた目標と、親の期待に応えるべくたてた目標は違います。目標と現実との間にギャップがあると、お子様の自信はなくなる一方です。お子様が完璧主義になって高すぎる目標にとらわれてしまわないように、視野を広く持って欲しいと思います。逆に教育者としては、お子様に問題の解き方を教えながら「本当に気にしなければならないことは何なのか」ということを伝え、価値観を養っていきたいものです。

 過去の体験を清算し、広い視野を持つ。こうした経験はお子様が自立していくために欠かせないものです。